住み替え時に知っておきたい税金の仕組み

住み替えは新たな生活の始まりを意味する一方で、現在の住居の売却と新居の購入に伴い、さまざまな税金が発生します。正しい知識を持ち、特例や控除を活用することで、税負担を大幅に軽減することが可能です。本記事では、住み替え時にかかる主な税金や利用できる特例、さらに注意すべきポイントについて詳しく解説します。

現在の住居を売却する際にかかる税金

譲渡所得税

不動産を売却して利益（譲渡所得）が生じた場合、譲渡所得税が課されます。

譲渡所得は次の計算式で算出されます：

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用 + 特別控除)

• 取得費：購入時の価格や登記費用、改修費用など。
• 譲渡費用：売却に伴う仲介手数料や解体費用など。

譲渡所得に対する税率は所有期間によって異なります：

• 短期譲渡所得（5年以下の所有）：39.63％
• 長期譲渡所得（5年超の所有）：20.315％

印紙税

不動産売買契約書の作成時に課される税金で、契約金額に応じて税額が異なります。たとえば、1,000万円を超え5,000万円以下の契約では2万円の印紙税が必要です。

登録免許税

売却時には所有権移転登記や抵当権抹消登記が必要となります。これに伴い、登録免許税が発生します。所有権移転登記の場合、課税標準額に対して0.3％の税率が適用されます。

売却時に利用できる主な特例

3,000万円の特別控除

居住用財産を売却する際、譲渡所得から3,000万円まで控除できる制度です。

適用条件：

• 売却物件が自身の居住用であること。
• 売却相手が親族でないこと。
• 売却の前年および翌年に同様の控除を利用していないこと。

軽減税率の特例

所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、譲渡所得税の税率が軽減されます：

• 6,000万円以下の部分：14.21％
• 6,000万円を超える部分：20.315％

特定居住用財産の買換え特例

売却益が発生した場合でも、新たにマイホームを購入した場合には、譲渡益に対する課税を繰り延べることが可能です。ただし、将来的に課税される点に注意が必要です。

新居を購入する際にかかる税金

印紙税

購入契約書の作成時に課される税金です。契約金額によって税額が異なり、たとえば5,000万円以下の場合は1万円が課されます。

登録免許税

所有権保存登記や移転登記に伴い発生する税金です。課税標準額に対し、新築住宅の場合は0.15％の税率が適用されます。

不動産取得税

不動産を取得した際に一度だけ課される税金です。課税標準額に対して4％の税率が適用されますが、住宅用地や住宅建物に関しては軽減措置があり、令和6年3月31日までは3％となっています。

消費税

新築物件や不動産会社から購入する場合、建物部分に対して課税されます。ただし、土地部分は非課税です。

購入時に利用できる主な特例

住宅ローン控除

住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、ローン残高に応じて所得税から一定額が控除されます。

適用条件：

• 床面積が50m2以上であること。
• 購入後6か月以内に居住を開始し、その後も継続して居住すること。
• 年間所得が3,000万円以下であること。

不動産取得税の軽減措置

一定の条件を満たす住宅用地や住宅建物に関しては、不動産取得税が軽減されます。例えば、新築住宅の場合、課税標準額から1,200万円が控除されます。

住み替え時に注意すべきポイント

住み替えに伴う税金を適切に管理するためには、以下の点にも注意が必要です。

• 特例の適用条件を確認する：各特例には詳細な適用条件があります。特に3,000万円の特別控除や買換え特例は要件が厳格で、条件を満たさない場合は適用されません。
• 税務申告を確実に行う：特例を利用するためには確定申告が必要です。必要書類を事前に準備しておきましょう。
• 専門家への相談：税理士や不動産の専門家に相談することで、手続きのミスを防いで節税方法を選択できます。